ブルガリア日食紀行3
やがてバスはブルガリアのドブリッチ市北東30kmの町ジェネラル・ト−シェボに到着。観測場所はユーリガガ−リン農業専門学校の校庭。例によって現地のGPSデータを記録します。北緯43度42分04秒。東経28度02分00秒。…ここは大変広く、誰にも気兼ねする事なく観測開始!銀塩撮影派の私は三脚とカメラを2台ずつ用意。ダイヤモンドリング2分前からフィルター付きのレンズを外し、広角レンズを取り付け、本影錐の移動と内惑星を撮影します。FILMはいつものAGFAではなくて、FUJIのISO400を使います。四色感層になったので、コロナの露出時間による色の違いや、プロミネンスと彩層の鮮やかな赤を再現出来ればいいと思いました。専門学校の校舎内で簡単な昼食を取って、現地時間の12:30から観測開始。同時に気温も測ります。ひなたにいたのでかなり暑く、観測前は44℃もありました。それでも日中50℃近くにもなるイランよりはましです。ToT一昨年のシベリアでは−30℃を経験しました。皆既日食を追いかける旅は辺鄙な所で観測するしかないのかなぁ?94年のチリでは砂漠で観測したし…。日食勉強会に参加していたので、極大期のコロナが見られる事は知っていました。水分を取りながら部分食を予定通りに写して行きます。やがて空が青く濃くなってきました。外気はすっかり涼しくなっていました。皆既3分前、皆既日食撮影用の500mmレンズを付けたカメラのファインダーを覗きます。既に内部コロナが見えていますが、金星は見えない。うっすらと黒く大きな影が迫ってきた。まもなく皆既日食。心臓の鼓動が早くなってくる。太陽の光が失われ、ダイヤモンドリングが見えてきました。ファインダーからこれまで見た事もない丸いコロナが見えました。いつもと形が違うので、ひどく興奮しています。月縁から四方に紅いプロミネンスが見えます。91年のメキシコよりも数が多い。筒先開閉でうちわシャッターを使う予定が慌てたので手でやってしまった。おかげで鏡筒に手をぶつけてしまい、それから写真がピンボケになってしまいました。更に本影錐の移動の様子も撮れなかった。三脚だけで撮影するのは本当に難しいです。このリベンジがザンビアでの成功につながった訳です。ちなみに皆既中は30℃まで気温がさがりました。
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